社会人が司法試験や予備試験に挑戦なんて無理ゲーなどという意見があるが……

このような意見がある限り、虎視眈々と司法試験並びに予備試験の合格を目指して学習準備を進めている社会人にとっては多少の語弊はあるがラッキーなのではないでしょうか?というのも本当はひじょうに有能なのに自分で確かめる前に誰が言っているか信頼度が高いのかなど特に詳しく調べもせずに勝手に無理とあきらめて挑戦をしない方々が多くいるのではないかと想像するから……

とはいえ難関資格に変わりなく、やはり簡単でもなく無理ゲーといいたくなる気持ちも旧司法試験を目指していた私には分かる気がするんです。でもゲームだってすぐにクリアできるものや結果が見えているのってあまり魅力を感じませんよね……

今後3年以内に司法試験最終合格を目指しまずは準備をし始めている私が自分なりに考える社会人に有利なポイントは何なのかをお届けしたいと思います。

社会人の方で予備試験に挑戦しようかどうしようか迷って悩んでいらっしゃるのであれば、とりあえず1歩踏み出しませんか!?この記事で少しでも前向きに感じてもらえたらこ踊りして喜びます。

司法試験・予備試験の社会人合格は無理ではない、むしろ有利!!

あなたができると思えばできる。
できないと思えばできない。
どちらにしてもあなたが思ったことは正しい。

- ヘンリー・フォード -

社会人経験者には多かれ少なかれ社会人としての経験が備わっていると思います。学生時代には考えもしなかった思考法などを知らず知らずのうちに習得していると思います。それらを総動員するのです。

自分よりも時間的にも余裕があるような立場にいる人を思い浮かべるとどうしても焦りなどネガティブな発想が生まれてくると思います。いろんな立場の人がいるのでそこは特に比較する必要もなくただ自分が何ができるかにフォーカスすると良いと思います。自分にしかコントロールが及ばないので……

社会人には司法試験や予備試験合格はムリと考える根拠は!?

司法試験・予備試験はそれこそ国内の文系資格試験では最難関の一つに挙げられるため、決して簡単といっているわけではありません。が、働きながら挑戦する社会人には無理という情報を目にすると違和感を覚えるのも事実。

そこで、社会人が司法試験予備試験に挑戦することが無理ゲーなどとネガティブな意見の根拠は何なのか!?対策はないのか!?考えてみたいと思います。結論から申しますと、特に予備試験だからという話ではないと私は思います。

社会人には法律の学習時間の確保が困難。

社会人は本業のかたわら試験の準備を行う必要があるため、一見すると試験勉強に集中できる現役生の方々の方が可処分時間も長いために有利ではないか!!逆に可処分時間が短い社会人は無理ではないか!?という考えが根底にあるのではないでしょうか。

たしかに勉強時間に使える時間が長い学生さんは一見有利にも感じられます。しかし、学生さんは予備試験なり司法試験の勉強だけしているのでしょうか?別に学生生活でいろいろあるでしょう。それに仮に1日10時間確保できたとして勉強の質も維持しつつ集中して10時間過ごすことが出来るとすれば、そんな人はとてつもなく優秀な人ではないでしょうか?

社会人は短期間で仕事に関連する知識や情報をマスターして実務で活用したりする機会があります。なぜ短期間でマスターしたうえで実務に活用までできるのでしょうか?そこにヒントが詰まっていると思います。

予備試験の学習範囲の広さと難易度の高さ。

司法試験の予備試験で求められる合格に必要な学習レベルは法科大学院・ロースクール卒業程度の学力と応用力という基準があります。司法試験法第5条第1項。そこで求められている具体的なレベルはどのくらいなのか!?これを知るためには過去問研究に尽きます。わたしは過去問研究をベースに不足している知識などを確認しながら肉付けしていくというイメージで準備をします。

漠然と法学部の生徒やロースクールの学生が使うような基本書から入るのはおすすめではありません。漫然と法律の基本書を最初から最後まで熟読しても、司法試験の本試験や予備試験で頻出の論点がどこなのかを理解するのは抽象的過ぎて難しいと思います。

それよりも過去問を研究していくと定番と言いますか、大事な論点が何度も何度も繰り返し問われているということが分かります。そのいわゆる重要論点と言われるテーマは試験管理委員会の先生方からすると基本的な事項で、最低限理解していてほしいとのメッセージだと考えます。そういったところから攻略していくというのが効果的だと思います。そして、その重要論点をマスターして点で理解していた知識を面として把握する。つまり各テーマを概念化して理解するということです。

時間は有限ですし……十分過去問研究で対策は可能。この過去問研究をしなければ具体的に求められる学習のレベルを知ることが出来ない。結果、どのくらい学習すれば良いか分からずイメージ的に難易度をいたずらに高めてしまう危険性があるということではないでしょうか!?過去問の研究を行うことにより、司法試験の本試験や予備試験で求められる学習のレベルを知ることが出来るようになるということだと考えます。

法律の勉強に対するモチベーションを働きながら維持するのが難しい。

現実問題、この司法試験・予備試験の学習に対するモチベーションを社会人として働きながら維持し続けることが困難という問題はかなり厄介だと思います。以前の旧司法試験時代にはまさにこの問題を抱えていました。とても孤独感もありました。

当時は早稲田セミナーという司法試験専門の予備校を活用していましたが、金銭的に余裕がなかったためにどうしても学習資金を稼ぐためのバイトと掛け持ちしていました。そこで、基本講座などのカセットテープ講座を年に何度かある早稲田セミナーの特売セール期間中に購入してせっせと自宅で何度も聞きながら、早稲田セミナーの参考書的なデバイスという書籍で基礎知識を固めていきました。

まぁ論文の答練(答案練習会)には通学という方法で参加していたのですが、基礎講座から通学している方々は日ごろから顔なじみということもあり、仲の良い雰囲気にすこしうらやましい思いを抱いていたように記憶しています。それでも、自分がやりたいことに挑戦できていることに感謝をしながらと自分に言い聞かせて準備にいそしんでおりました。

モチベーション、今はSNSなどで同じ目標を目指して頑張っている人たちのつながりも容易にできるようですし、このようなツールを活用することによってモチベーションの維持を図るというのも一つの方法ですね。でもSNSに依存し過ぎないように注意も必要ですね。

データでみる司法試験予備試験に挑戦する社会人の傾向

2021年(令和3年)の予備試験における社会人の受験者数及び合格者について法務省のホームページのデーターを参考にまとめてみました。※実際の出願者の中で法務省実施のアンケートに回答された方々のデーターを基にしています。

職業別受験者数短答式合格者数予備試験最終合格者数
公務員202018
会社員363631
法律事務所事務員443
塾講師110
自営業999
法科大学院107107105
大学生156156153
無職535344
大学院生111
その他131310
合計400400374

※データは法務省HPより編集しています。

2021年(令和3年)の司法試験予備試験においては14,317名が出願しています。その内、実際に受験したのは11,717名ということで受験率は81.8%でした。上の表は出願者の中で法務省のアンケートに回答された方々のデータです。アンケートであるため回答率はもちろん100%という訳ではないのですが、少なくともアンケート回答者の中に社会人が含まれているという事実を確認できます。

学生だから、社会人だからという話よりも法律の学習が好きだからとなれば最強!!なんでしょうけど、それが難しかったりするんですよね……

司法試験予備試験の受験者の年齢について

こちらも2021年(令和3年)の司法試験予備試験の出願者中、法務省のアンケートに回答している方々の年齢に関する情報です。

年齢別受験者数短答式合格者数予備試験最終合格者数
19歳以下111
20~24歳230230224
25~29歳595957
30~34歳373735
35~39歳242420
40~44歳181814
45~49歳10108
50~54歳161611
55~59歳222
60~64歳222
65~69歳110
合計400400374

こちらの年齢別のデーターを見ながらいわゆる中高年の方々が挑戦し、結果を残されているという事実。この事実にはわたしも中年なのですごく勇気をもらいます。挑戦し続けるって、ただそれだけで尊いと思います。

※データは法務省HPより編集しています。

社会人が司法試験の予備試験に合格するためには戦略が必要!!

別に社会人だからというだけではないのですが、ある程度の社会経験を経て仕事の作法を多少なりとも身に付けていれば専業の受験生の方々とは違った準備・学習の方法がおのずと思いつくと思います。

社会人が予備試験に合格するためにはとにかく過去問を研究する

社会人が働きながら司法試験やその受験資格を得るための予備試験に本気で合格しようとするなら、とにかく過去問。過去問に始まり過去問に終わるというくらい過去問を徹底的に研究するのが必要だと思い、現在研究中です。

予備試験の過去問の研究、学習といってもどのようにやるのか?ということなのですが、割合的には論文試験対策が8割で短答式対策としてはのこり2割程度というイメージ。刑法のように論文式試験と短答式試験をリンクして学習することにより効率的に準備ができると思えるものはどんどん併せて学習する。

同時に論文式試験の過去問にある模範答案にて法的三段論法をしつこいくらいに確認する。また論文の書式の作法もマスターする。

社会人は特に短期合格という期限を切る

社会人として働きながら予備試験の合格を果たすということがどの程度の準備を要するか、ある程度予想したうえで決して楽ではない道を進もうとするときには何らかの動機があると思います。予備試験に合格して司法試験の本試験ももちろん突破して法曹の資格を得るのはゴールではないと思います。

他の何らかの目的や目標があり、その通過点に司法試験や予備試験を設定しているのではないでしょうか?とするならば最短で進みたいというのが自然な思いだと思います。めざす短期合格。ということで少し無理するくらいの勢いで期限を切りメリハリのある準備に臨みたいと考えています。

アウトプットを意識した効率を重視する

漫然と基本書と呼ばれる偉い先生方の本を読みながら少し理解できると悦に入っていた遠い昔の自分に喝!!ということで、やはりどれだけ法律の知識を蓄積しても学者せんせいになるわけではなく、予備試験というテストをパスするための準備であるということを大事に、どうすれば実戦で合格ラインを超えるだけのパフォーマンスを発揮できるか!?ということを常に意識する必要があります。それはいかにアウトプットに重きを置いた準備学習を行うかということだと思います。

それだけでも全体としてみれば予備試験の準備としては十分効率的だと考えます。

社会人が予備試験の合格を果たすためには学習対象を取捨選択する

学習対象を取捨選択などというと曖昧に感じると思いますが、これこそが過去問だと考えております。くどいくらいに過去問のオンパレードです。試験の時期が迫ってきても新しい参考書は欲しがりませんと一筆紙にでも書いて壁に貼っておこうかと考えています。

社会人が予備試験の合格を果たすためにはすき間時間をフル活用しましょう

本気で働きながらの予備試験突破を目指しているのならば、専業受験生は時間があっていいよなぁという考えが出てこないくらいにすき間時間を徹底的に有効活用する。自分よりも恵まれた環境にいる人は確かにいるかもしれませんがそのようなことを想像してうらやむこと自体が時間のムダと言い聞かせております。

そのような環境でも挑戦したいと決断したのは誰なのかという話……

たとえば憲法についてはそこまで時間をとることはできないと考えていますので、判例をまずはマスターしようと考えております。もっぱら通勤時間の電車の中か仕事の昼休みや休憩時間しか読まないと今のところ決めています。コツコツと少しずつでも繰り返し読んでいるとあれっ理解できるようになっているというシーンに出くわします。これを体験すると心地よいのでやめられなくなります。民法を制する者は司法試験を制するという言葉が昔あったように記憶していますが、すき間時間を制する者は司法試験や予備試験だけでなく人生を制するといっても過言ではないと思います。

社会人が予備試験の合格を果たすためには独学に固執せず適切に予備校を活用すべし

司法試験の予備試験に興味を持ち始めたとき、いろんな学習方法が公開されていることに驚いたということと、正しく準備すれば可能性があると感じることが出来たというのが一番大きかったと思います。

今の時代は望めば手に入らない情報はないのではないかというくらいに恵まれていると思います。司法試験に限らず社会の中で実施される試験などの学習方法が多く動画なんかでも公開されていますし、望めばその方法を無料で学ぶこともできる時代。それだけでもスゴイことだと思います。

無料でも手に入ると言っておきながら矛盾するようなことを申しますが、それでも司法試験並びに予備試験を他の目標を達成するための通過点ととらえているということであれば適切に予備校を活用する必要があると考え、予備校もどこを活用しようか選択中です。学習のスケジュールを立てるアイデアや頻出論点や過去問の傾向と対策、答練などプロにお任せして、一種のサービスとして活用させてもらえたらと考えています。

最近思うのです。年を取ったからでしょうか……どうして以前は独学という言葉にあこがれのようなものを感じていたのかと……

社会人であっても司法試験・予備試験の合格lは可能!!

ということで、社会人が働きながら司法試験・予備試験を合格するのは楽ではなく、簡単でもないがやり方次第では可能だということが確認できました。こんごも徹底的に予備試験のあらゆる要素を研究し学習・勉強はスポーツのトレーニングのようなイメージで臨みたいと考えております。